アイアンのサビは、ある日突然やってくる

アイアンのサビは、ある日突然やってくる

しばらくぶりにキャディバッグを開けたら、ウェッジのフェースに、点々と茶色いシミが浮いていた——。

あの「うわ」という声にならない感じ、経験のある方は多いと思います。先週まではなんともなかったのに。サビは、ある日突然やってくるように見えます。

でも本当は、突然ではないんです。今日はサビの正体と、道具がサビと無縁でいられる保管の話をします。

サビの正体は「水分×酸素×時間」

サビは、鉄が水分と酸素に触れつづけることで起きる酸化反応です。材料は3つだけ。鉄、水分、酸素、そして時間。

酸素はどこにでもあるので、実質的にコントロールできるのは水分と時間です。つまりサビ対策とは、突き詰めると「濡れた状態で放置される時間を、どれだけ短くできるか」の勝負。特別な技術ではなく、時間の管理なんです。

「突然やってきた」ように見えるサビは、実は何日も前から静かに進行していて、目に見えるサイズになった日に発見されただけ。犯行時刻は、たいていラウンドの夜です。

サビやすいクラブと、サビやすい場所

もうひとつ知っておきたいのは、クラブによってサビへの強さがぜんぜん違うことです。

アイアンやウェッジのヘッドには、大きく分けてステンレス系と軟鉄(炭素鋼)系があります。やわらかい打感で人気の軟鉄は、その名の通り炭素鋼——つまりサビやすい鉄です。メッキで守られていますが、傷がついた場所や溝の中など、メッキの薄いところから茶色は顔を出します。「いいウェッジほどサビやすい」は、あながち冗談ではありません。

そしてサビが出やすい場所は決まっています。溝の中、フェースの傷、ソールとの境目、ホーゼル(シャフトの付け根)まわり。 共通点は「水分が残りやすく、拭き残しやすい場所」。サビは、タオルの通らなかった場所を正確に覚えています。

保管場所で、進行速度が変わる

濡れたまま、と並ぶもうひとつの主犯が、保管場所の湿気です。

  • 濡れたヘッドカバーは、湿気の袋。 雨のラウンド後、濡れたカバーを被せたままにするのは、鉄を湿らせた布で包んで保管しているのと同じです。カバーも一緒に干してください
  • 車のトランクは、保管庫として最悪の部類。 温度も湿度も大きく振れる場所で、夏は高温のダメージまで加わります(夏の車内で何が起きるかは、[別の記事](※A-3リンク)で詳しく書きました)
  • 玄関や物置の「床置き」も要注意。 湿気は下に溜まります。同じ部屋でも、床から離すだけで環境は変わります

理想は、風通しのある室内。人が快適に過ごせる場所は、だいたい道具にとっても快適です。

それでも出てしまったサビは

小さな点サビの段階なら、市販のクリーナーや目の細かい研磨でケアできる範囲のことが多いです。コツは「早く見つけて、弱い手段から」。放置して深く進んだサビほど、強い研磨が必要になり、メッキや刻印まで削るリスクが上がります。

そして例によって、フェース面の溝まわりは慎重に。強く削る場所ではありません。判断に迷う深さなら、工房に相談するのが安全です。

道具は、静かに劣化する

サビの話は、結局こういうことだと思っています。

道具は、壊れるときに音を立てません。ラウンドの夜の1回の拭き忘れ、濡れたカバーのひと冬、トランクのひと夏。どれも単体では事件にならないまま、静かに積み重なっていく。

逆に言えば、ラウンド後に水気を拭いて、乾いた場所にしまう——それだけのことを続けている人の道具は、何年経ってもいい顔をしています。サビ対策の正体は、高価なケミカルではなく、その日の10分です。

今夜、バッグの中のウェッジの溝を、ちょっとだけ覗いてみてください。

(あかり)


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このお店の商品の選び方は「ZIGZAGの選定基準」に書いています。

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